2025/01/20 01:12

「弦の寿命が短い」「すぐ錆びてしまう」「弦交換の費用がかさむ」。エレキベースプレイヤーの多くが抱えるこんな悩みを解決してくれるのが、コーティング弦です。

近年、多くのメーカーから様々なコーティング弦が登場し、プロのベーシストの間でも使用者が増えています。しかし、通常の弦と比べて割高なため、「本当に価値があるのか?」と疑問に思う方も多いはず。

この記事では、コーティング弦の基礎知識から、メリット・デメリット、おすすめブランド、正しいメンテナンス方法まで、プロの視点で徹底解説します。これを読めば、あなたに最適なコーティング弦が必ず見つかるはずです。

コーティング弦って何?素材から分かりやすく解説

出典 : D'Addario

エレキベースの弦選びで悩んだことはありませんか?今回は、近年人気を集めている「コーティング弦」について詳しく解説します。

通常のベース弦は金属がむき出しの状態ですが、コーティング弦は特殊な樹脂で保護されているのが特徴です。この保護層によって、弦の寿命が大幅に伸び、サビにくく、メンテナンスも簡単になります。

コーティング層には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。

ナノウェブは超薄膜のポリマーコーティングで、生音に近い音色を実現。ポリウェブは少し厚めの保護層で耐久性を重視しています。他にもマイクロコーティングやカラーコーティングなど、用途に合わせて選べます。

基本的な構造は通常の弦と変わりませんが、芯線や巻き線には錆びにくい素材が使用され、その表面をコーティング層が守っています。さらに表面加工により、滑らかな弾き心地も実現しています。

従来の金属弦は汗や皮脂による劣化が早く、金属が酸化することで音質も低下しやすい問題がありました。そのため頻繁な弦交換が必要でしたが、コーティング弦ならこれらの問題が大幅に改善されます。

次回は、コーティング弦の具体的なメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。

コーティング弦のメリット・デメリット

ベーシストの間で話題のコーティング弦。実際にどんな良いところ、悪いところがあるのでしょうか?今回は使用経験のあるプレイヤーの声を参考に、メリット・デメリットを詳しく解説します。

まずはコーティング弦の大きなメリットから見ていきましょう。最も魅力的なのは弦の寿命が大幅に伸びる点です。通常の弦が1ヶ月程度で音質の劣化を感じ始めるのに対し、コーティング弦は3〜4ヶ月持続することも。長期的に見ると弦交換の手間とコストを大きく削減できます。

また、汗や皮脂による腐食も防げるため、夏場のライブや練習でも安心して使用できます。さらに、指板への金属粉付着も少なくなるため、楽器のメンテナンスも楽になります。

しかし、デメリットもあります。最も気になるのは価格です。通常の弦と比べると2〜3倍ほど高価になります。ただし、長持ちする分、年間のトータルコストでは大きな差が出ない場合も。

音質面では、コーティングによって高域が若干抑えられる傾向があります。特にスラップ奏法では、通常の弦より音の伸びが抑制される場合があります。ただし、最新の製品では、この問題も改善されてきています。

弾き心地については、コーティングの種類によって好み分かれるところです。滑らかすぎて違和感を感じる人もいれば、逆にその滑らかさを気に入る人もいます。

次回は、主要メーカーの特徴や、おすすめのコーティング弦を紹介していきます。実際の選び方のポイントも解説しますので、お楽しみに。

代表的なコーティング弦ブランドと特徴

ここではエレキベース用コーティング弦の主要ブランドを紹介します。各メーカーで特徴が異なるため、自分のプレイスタイルに合った製品選びの参考にしてください。

まず最も知名度が高いのが、ELIXIRです。独自のNANOWEBコーティングにより、生音に近い音質と優れた耐久性を両立させています。特に4弦ベース用の45-105のセットが人気で、オールラウンドに使える音色が特徴です。また、表面の滑らかさも特筆すべき点で、指の摩擦が少なく演奏しやすいと評価が高いです。

次に、DR Stringsのコーティング弦シリーズも注目です。K3コーティングという独自技術により、通常の弦に近い弾き心地を維持しながら、優れた耐久性を実現しています。特にスラップ奏法を多用するプレイヤーから支持を得ており、音の立ち上がりの良さが特徴です。


GHS Stringsは、BOOMERS Coatedシリーズで知られています。比較的リーズナブルな価格設定ながら、安定した品質を提供。特に中低音の太さに定評があり、ロック向きの力強い音色が特徴です。

La Bellaも独自のコーティング技術で注目を集めています。特にフラットワウンド弦のコーティングモデルは、ジャズベース愛用者から高い評価を得ています。低ノイズで温かみのある音色が魅力です。

価格帯は各ブランドで異なりますが、おおよそ以下の通りです。

・ELIXIR:4,000円〜5,000円
・DR Strings:3,500円〜4,500円
・GHS:3,000円〜4,000円
・La Bella:3,500円〜4,500円

次回は、これらのコーティング弦を長持ちさせるための正しいメンテナンス方法について解説します。

コーティング弦の正しいメンテナンス方法

せっかく購入したコーティング弦を長く楽しむために、適切なお手入れ方法を知っておきましょう。実は、コーティング弦だからといって完全にメンテナンスフリーというわけではありません。

まず、演奏後は必ず乾いた布で弦全体を拭くようにしましょう。コーティング弦は汗や油に強いとはいえ、長時間放置すると徐々にコーティング層に影響が出てきます。特に、フレット際の部分は汚れが溜まりやすいので、丁寧に拭き取ることがポイントです。

弦の拭き取りには、市販のクリーニングクロスが便利です。ただし、アルコールやシンナーなどの強い溶剤は使用しないでください。コーティング層を傷める可能性があります。また、スチールウールなど、表面を傷つける可能性のある素材の使用も避けましょう。

ベース本体のネック調整も重要です。極端な張力変化はコーティング層にストレスを与えます。季節の変わり目にはトラスロッドの調整を行い、適切なネックの反りを保つことをおすすめします。

弦交換の目安ですが、以下のような症状が出たら交換時期と考えましょう。

・音の伸びが極端に悪くなった
・チューニングが安定しなくなった
・コーティング層の剥がれが目立つ
・フレット際が黒ずんできた

保管時は、極端な温度変化や湿度の高い場所は避けましょう。また、長期間使用しない場合は弦の張力を若干緩めることで、コーティング層への負担を軽減できます。

次回は、実際にどんなプレイヤーにコーティング弦がおすすめなのか、具体的な例を挙げて解説します。

こんな人にコーティング弦がおすすめ!

エレキベースのコーティング弦、実際のところどんな人に向いているのでしょうか。プレイスタイルや予算、音色の好みによって、最適な選択は変わってきます。

毎日長時間練習する人にはとてもおすすめです。通常の弦なら2週間で交換が必要な過酷な使用環境でも、コーティング弦なら1〜2ヶ月持ちます。音楽学校の学生や、毎日バンド練習をしているプレイヤーにとって、弦交換の手間とコストを大幅に削減できます。

また、汗を多くかく人にも最適です。ライブハウスでの演奏が多い方、特に照明で熱くなるステージで演奏する機会が多いプレイヤーにとって、汗による弦の劣化を防げるのは大きなメリットです。

音色の面では、ファンクやR&Bなど、温かみのある音作りを好むプレイヤーに向いています。コーティングによって高域が若干抑えられる特性が、かえって好ましい効果を生むことがあります。

逆に、以下のような方には通常の弦をおすすめします。

・生々しい音の立ち上がりを重視する方
・スラップ奏法が演奏の中心の方
・月1回程度しか演奏しない方
・予算を抑えたい方

一度試してみて、自分に合わないと感じたら通常の弦に戻すのも一つの選択です。コーティング弦は決して万能ではありませんが、多くのプレイヤーにとって、検討する価値のある選択肢と言えるでしょう。

以上でコーティング弦についての解説を終わります。皆さんのプレイスタイルに合った弦選びの参考になれば幸いです。